再転相続を見逃し無念の取下げ

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司法書士さいとう司法書士事務所
青森市大野でさいとう司法書士事務所を経営している代表齋藤洋介です。 相続を中心として業務を行っています。 趣味は自転車(ロードバイク)、青森市内のラーメン店巡り、司馬遼太郎の小説を読むことです。

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取下げ

つい最近、取下げになった事案があったので、備忘録として残しておきます。

ことの発端は、相続人第一順位の子全員が相続放棄したことから始まります。

被相続人は故郷を遠く離れて暮らしており、兄弟である依頼者とは生前、交流は薄かったようです。

ある日、依頼者のもとに被相続人の固定資産税を支払ってくださいというお手紙が市役所から届き、

被相続人の子の全員が相続放棄したということを依頼者が知り、

なおかつ、自分が相続人であることが判明した次第です。

わりとよくあるケースです。

ここで依頼者も相続放棄をしてしまえば、話はおしまいだったのですが、

とある事情で相続放棄ができませんでした。

そこで被相続人名義となっている不動産を依頼者が相続することとなったのです。

となると、登記には被相続人の子全員の相続放棄受理証明書が必要になるので、

依頼人に被相続人の子と連絡してもらえばいいのですが、

電話番号も住所も知らないし、子たちも相続に関わりたくないという風聞が伝わってきたので、

まず家庭裁判所に申述の有無を確認し、事件番号を知り、

そのあとに相続放棄受理証明書を利害関係人という立場で依頼者に取得してもらいました。

その間に戸籍を収集していたのですが、

なにぶん、遠隔地にある戸籍謄本の取得は郵送で往復となるので、

ここまででも戸籍の取得やらで結構、時間がかかっています。

しかも戸籍を確認すると被相続人の母が樺太から転籍してきています。

兄弟が相続するには、父の出生から死亡までの戸籍謄本と同じく母の分も必要です。

しかし、樺太時代の戸籍は取得できないので、

他に相続人はいない旨の上申書を提出することにしました。

思えば、樺太に神経がいってしまったあまり、大事な論点を見逃してしまったのです。

さて、戸籍もそろい、相続放棄受理証明書も準備でき、相続人は依頼者だけと証明できたので、

せっせと申請書を作成して管轄の法務局へ書類を郵送してとりあえずは胸をなでおろしたのでした。

しかし、1週間もたったくらいでしょうか。

法務局から電話があり、以下のことが判明し、私はしばらく固まってしまいました。

被相続人が死亡した時に父はすでに亡くなっていたが、母が存命だったということです。

ということは、被相続人の子が相続放棄をしたら、次の相続人は兄弟である依頼者ではなく、

母です。

母も数年前に亡くなっているので、依頼者が不動産を相続するには、

被相続人、母、依頼者の順に相続すればいいのですが、問題は母の相続人です。

被相続人は母より前に亡くなっているので、被相続人の子は母を代襲相続します。

相続人は依頼者および子。

子は相続放棄をしたが、もう一度、被相続人を相続した母の相続に関わることになりました。

登記は取下げして、やり直しです。

とにかく、依頼者に被相続人の子と連絡をとってもらわないといけません。

相続登記は奥が深いですね。