意思決定支援のプロセス
saitou
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本人(被後見人)が入所する施設を選ぶ、自宅を売却するといった、
本人に重大な影響を与える法律行為および付随する事実行為の意思決定が求められる局面で、
代理権があるからといって安易に後見人が代行決定をするのではなく、
本人が自身で意思決定ができるように環境を整備するなどの支援をするべきである。
しかし、ひとくちに意思決定支援といっても具体的にどのように行えばいいのか。
また、意思決定支援を尽くしても後見人が代行決定せざるを得ないかもしれないケースで、
どのようなプロセスで代行決定に移行すればいいのかが問題となる。
意思決定支援の前段階として、ケアマネ、施設職員、後見人、
そして、本人も含めた支援チームを編成することが望ましい。
そのうえで意思決定支援のプロセスを踏んでいくのだが、
プロセスには基本原則がある。
- 全ての人は意思決定能力があることが推定される。
- 本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。
- 一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない。
以上の原則をもとにチームミーティングを重ねていき意思決定を支援していく。
ミーティングでは、意思決定支援が適切に行われているか相互にチェックしていくことが望ましい。
特に後見人には意思決定の最終決定権限があるからといって、
後見人の価値観に引っ張りすぎないように気を付けるべきである。
さて、チームで対応しても本人の意思を確認することができない、
また、本人の意思決定に従うと重大な損害がおこる場合、代行決定に移行するが、
代行決定でも、本人であればこのような選択をしただろうという推定意思に基づき行動すべきである。
本人の意思決定が本人のみならず他者にも重大な損害を与えると想定されるときは、
本人にとって最善の利益になるように代行決定をする。
ただし、最善の利益といっても、代行決定は最終手段であるから、
意思決定が先延ばしにできず、他に採用できる手段もない場合に必要最小限度の範囲でなすべきである。
また、ひとたび代行決定をすると、以降も代行決定が第一の選択となる危険をはらんでいる。
よって、原則に立ち戻り、本人には意思決定能力があるという推定のもとに
意思決定支援をしていくのが望ましい。
丁寧に意思決定支援のプロセスをたどっていけば、後見人の善管注意義務ははたしたといえるし、
本人の幸福度もあがるといえるだろう。