成年後見人による意思決定支援
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後見人には代理権があるので本人(成年被後見人)に代わり、本人のために決定をすることができます。
また、本人の意思表示によった契約を取消す権限も後見人にあります。
よって、後見人は代理権と取消権も行使することで、本人の意思とはまったく異なる決定ができます。
つまり、後見人の他者決定が本人の自己決定を優越してしまう。
後見人を置いたことでかえって本人の意思が反映されなくなるのでは本末転倒です。
そこで、本人の意思決定を手助けする、意思決定を支援することが重要となってきます。
意思決定を支援するというと難しく聞こえるが、要は「本人が決める」ということです。
本人が決めることが、自分らしい生活につながり、他人の干渉もよせつけないことになります。
しかし、認知症、精神障害などの理由により本人の意思はありながらも、
意思を思うように表示できるとはかぎりません。
そこで、成年後見人は支援者として本人の意思決定を支える環境をつくることになります。
意思決定支援にはいくつかのポイントがあります。
まず、本人には意思決定をする能力があるという推定が大前提です。
本人に意思能力がないのではというケースでも、
単に支援者とのコミュニケーション不足で意思能力がないようにみえただけかもしれません。
時間をかけて信頼関係を作れば意思決定ができることもありえます。
コミュニケーションでは「待つ」ことも大事です。本人に意思決定を強制してはいけません。
本人の意思決定を手助けする支援者の支援能力も無視できません。
支援者の能力次第で本人の意思決定を引き出せるかどうかが決まってきます。
また、単独の支援よりも複数の支援者が意思決定にかかわるのが望ましいです。
支援者ひとりでは意思決定に独善が走るかもしれないので、
価値を相対化することが大事です。
さて、本人の意思決定が必ずしも本人のためになっていないということもありえます。
支援者にとって不合理な意思決定にみえてもあくまで本人の意思と選好を重視すべきです。
意思決定がいくら不合理にみても本人の自分らしさの保障になるからです。
最後に本人が意思決定をしたからといって、決定のリスクは本人だけが引き受けるわけではありません。
支援者が意思決定に介在することで、共同決定の要素があるからです。
以上のように意思決定支援のポイントをふまえたうえで、
どうしても本人の意思決定が難しい場合をのぞき、
できるだけ本人の意思表示を優先させるべきです。