株式会社設立の資本金の払込日の取り扱い変更
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株式会社の設立登記の際に資本金を銀行口座に振り込みますが、
振込はいつの時点ですればいいのかという点で、
法務局の取り扱いが変わりましたので、解説します。
従来の資本金の払込日のタイミング
従来、資本金の払込は公証役場で定款を認証した日以降という取り扱いでした。
認証した後、預金通帳の振込したページをコピーして、
払い込み証明書とホッチキスで留めて割印をします。
もし、定款を認証するより前の日に資本金を振り込み、
それを払い込み証明書の一部として登記申請したら、
間違えなく取下げとなってしまうでしょう。
株式会社の設立日は登記申請日となります。
取下げとなると、あらためて登記申請となって設立日が違う日となってしまいます。
設立日が異なると何が問題かというと、
株式会社を設立する場合、設立日を重視します。
縁起のいい日、大安や天赦日、一粒万倍日などが選ばれます。
取下げとなるとその日を設立日とすることはできないので、
取下げは死活問題となります。
払い込み証明書以外にも委任状や就任承諾書といった押印してほしい書類があるので、
私のやり方では払い込み証明書以外の書類には事前に押印をいただき、
定款認証後に払い込み証明書に押印をいただくという、
ある意味、二度手間となっていました。
資本金の払込日の取り扱い変更
令和4年6月13日法務省民商第286号の通知により、
資本金の払込日について以下のように取り扱いが変わりました。
預金通帳の写し又は取引明細表その他払込取扱機関が作成した書面に記載された払込みの時期については、設立時発行株式に関する事項が定められている定款の作成日があった日後に払込があった場合はもとより、その前に払込みがあった場合であった場合であっても発起人の口座に払い込まれているなど当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば、差し支えない。
一部省略しましたが、要は定款の認証より前の日に資本金の振込があっても、
登記は受理されるということです。
ということで、事務的にはハンコをまとめてもらえることとなり、
わずかではありますが、設立手続きが効率的になりました。
さて問題は、どれだけ前でも資本金の振込と認められるのかですが、
さすがに5年前、10年前の振込は認められないかと思います。
一応、取扱の変更があってから、設立登記をする機会があったので、
定款の認証の一週間前に資本金の振込をしてもらいましたが、
無事に登記申請は受理されました。