相続登記しようにも樺太に本籍がある
saitou
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このたび、被相続人の本籍が樺太にあった相続登記を完了させたので、
ブログに記録しておきます。
よろしければ、ご参考にしてください。
被相続人の婚姻前の本籍が樺太にあった
今回、亡兄弟名義の不動産について、依頼者に名義を変更するという事案でしたのですが、
子がいない兄弟が亡くなった後に母が亡くなっている数次相続となっておりました。
亡兄弟から母、そして依頼者という順番で名義変更します。(便宜上、一申請で済ませます。)
問題は、母の婚姻前の本籍が樺太にあったということです。
被相続人の戸籍(除籍、原戸籍)は、出生から死亡まですべての戸籍が必要なのですが、
樺太の戸籍は以下の戸籍を除いて取得することはできません。
また、戸籍はすべて外務省で管理しています。
- 大泊郡知床村 戸籍簿 15冊 除籍簿 3冊
- 大泊郡富内村 戸籍簿 1冊
- 大泊郡遠淵村 戸籍簿 4冊
- 敷香郡内路村 戸籍簿 9冊
- 敷香郡散江村 戸籍簿 4冊
- 元泊郡元泊村 戸籍簿 8冊
今回の事案では母の婚姻前の戸籍が上記以外にあったので、取得はできませんでした。
除籍、原戸籍が取れない場合の原則
樺太の戸籍以外にも、戦災などで戸籍が消失してしまっていることもあります。
この場合、平成28年3月11日付法務省民二第219号の通達により、
除籍等の謄本を交付することができない旨の市町村長の証明書を添付することで、
登記は受理されます。
よって、樺太の戸籍が取れない場合は、
外務省から交付できない旨の証明書を取得すればいいということになります。
外務省の別紙案内について
しかし、外務省からは交付できない旨の証明書の代わりに
別紙案内という文書を一律に交付しています。
ですので、この別紙案内を添付すれば受理されるということになりますが、
上記案内は外務省のウェブサイトで公開され、だれでもダウンロードできます。
このように周知されているので、別紙案内については省略してもいいかと思います。
遺産分割協議書の記載について
被相続人の戸籍の一部が樺太にあり取れない場合、
遺産分割協議書には、以下のような記載を付け加えておきます。
第〇条 相続人全員は他に相続人がいないことを証明する。
樺太に戸籍があった今回のケース
今回の事案では、外務省の別紙案内を添付せず、
遺産分割協議書に「いないことの証明」を追記することで、
無事に登記は受理されました。
ただ注意しておきたいのは、樺太の戸籍が絡む場合は、
法務局ごとに取り扱いが違うようなので、
事前に管轄法務局に照会をしておきます。