相続土地国家帰属制度で引き取ることができない土地

The following two tabs change content below.

saitou

司法書士さいとう司法書士事務所
青森市大野でさいとう司法書士事務所を経営している代表齋藤洋介です。 相続を中心として業務を行っています。 趣味は自転車(ロードバイク)、青森市内のラーメン店巡り、司馬遼太郎の小説を読むことです。

相続土地国家帰属制度において引き取ることができない土地があります。

申請しても直ちに却下となる土地(却下要件)、

審査後に不承認となる土地(不承認要件)です。

申請しても直ちに却下となる土地

  • 建物がある土地

 

  • 担保権または用益権が設定されている土地

   抵当権や地上権、地役権、賃借権がある土地は引き取れません。

 

  • 通路その他の他人による使用が予定される土地

   政令で定める具体的な類型として以下があります。

    1. 現に道路として利用されている土地
    2. 墓地
    3. 境内
    4. 水道用地、用悪水路、ため池として利用されている土地 

  

  • 特定有害物質により土壌汚染がある土地

   具体的には法務省令で定めている特定有害物質があります。

 

  • 境界が明らかでない、所有権などに争いがある土地

   測量や境界確認書の提出は必要ありませんが、以下のとおり、

   境界が明らかであることが要件です。

 

審査後に不承認となる土地

  • 一定の勾配、高さの崖があって、かつ、管理に過分な費用、労力がかかる土地

   勾配30度以上+高さ5メートル以上に該当する崖で過分な費用、労力がかかる土地

 

  • 土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地

   以下の要件に当てはまる土地は不承認となります。

    1. 工作物、車両または樹木その他有体物がある。
    2. 1の有体物が土地の通常の管理または処分を阻害する。

 

  • 除去しなければならない有体物が地下にある土地

   想定される有体物の具体例

    1. 産業廃棄物
    2. 屋根瓦などの建築資材(ガラ)
    3. 地下にある既存建物の基礎部分やコンクリート片
    4. 古い水道管
    5. 浄化槽
    6. 井戸
    7. 大きな石

 

  • 隣人などと争訟が必要な土地

    1.民法により通行権利が妨げられている土地

  1.  

  a.他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)

       b. 池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に出ることができない土地

       崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地

 

    2.所有権に基づく使用または収益が現に妨害されている土地

 

  • その他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地
    1.  災害の危険により、土地周辺の人や財産に被害を生じさせるおそれを防止する

      ため、措置が必要な土地

     2.動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地

           3.  適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が必要な森林

     4.国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき       

     5. 国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を

                  国が継承する土地