遺言書を公正証書で作成した時の費用と必要書類
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遺言書を公正証書で作成した時のメリット、デメリット、費用、必要書類にかんして解説しています。
公正証書遺言の4つのメリット
遺言書を公正証書で作成すると手書き遺言書よりもメリットがあります。
1 法的な要件を確実に満たしている
無効にならないで手書きの遺言書を作成するには民法上の要件を満たしておく必要があります。
たとえば、遺言書に日付がないというだけで全体が無効になってしまいます。
仮に要件を漏らさずに遺言書を書いたとしても、第三者に確認してもらわないと有効か無効か不安ではないでしょうか。
その点、公正証書遺言は公証人が原案作成に関与しています。
年間に何十も公正証書遺言を作成しているので、まず形式上の不備で無効になることはないでしょう。
2 証拠能力が高い
たとえば、認知症が進んでいた時に作成した遺言書は形式が整っていても無効です。
しかし、公正証書で作成した場合、公証人が遺言者の意思、判断能力を面談してチェックします。
面談して認知症が進んでいることがわかれば作成はできないと公証人から言われるでしょう。
ですから、出来上がった公正証書遺言が形式、内容などで無効になるということはまずありません。
また、遺言書の改ざんもむずかしいでしょう。
3 公正証書遺言は公証役場で保管される
公正証書遺言を作成すると、原本のほかに謄本、正本ができます。
原本は遺言者が死亡するまで公証人役場で保管されます。ですから、紛失したとか破損したとかという恐れがありません。
遺言者は正本と謄本を受け取ります。正本は原本のコピーで原本と同じ法的な効力をもっています。たとえば登記申請のさいに使います。
謄本も原本をコピーしたものです。ただし、こちらは法的な効力はないのですが、原本に何が書いてあるかは証明できます。
さらに公正証書遺言では「遺言検索システム」が使えます。
「なんか遺言を作ったらしいんだけど、遺言書が見当たらないだよね…。」
というときに便利です。
全国どこの公証人役場でも使えます。
遺言検索システムを使えば、遺言の有無、遺言を保管している公証人役場がわかります。
4 相続手続きがはかどる
法務局に保管していない手書きの遺言書は家庭裁判所で検認というものが必要です。
検認とは遺言書の証拠保全です。
検認期間はざっと以下のようになります。
- 死亡届が戸籍に反映される。(約1週間)
- 検認申立をして家庭裁判所から連絡がくる。(約2週間)
- 検認期日(連絡がきてから1か月後)
約2か月はかかります。
もちろん、その間は相続手続きはできません。
しかし、公正証書遺言では検認する必要がありません。
公正証書遺言のデメリット
いいことばかり書きましたが、デメリットもあります。
証人が2人必要
公正証書遺言作成時に遺言者は公証人に遺言内容を口頭で伝えるのですが、その際に証人が2人立ち会う必要があります。
遺言者本人がちゃんと自分の意思で遺言を伝えているかを証人が確認するためです。
証人は2人必要です。
しかもだれでもいいわけではありません。たとえば以下の人はできません。
- 未成年者
- 推定相続人(相続人)
- 受遺者(相続人以外の人で遺言で財産をもらう人)
- 推定相続人と受遺者の配偶者、直系血族(息子や孫など)
未成年者と身内の人は証人にはなれないとイメージしておけばいいです。
遺言内容が第三者につたわる
上記とも関連するのですが、遺言者は証人2人と公証人の立会いの下で遺言内容を口頭で伝えます。
ですから、最低でも3人に遺言内容を知られてしまいます。
公正証書遺言にかかる費用
公正証書遺言作成にかかる費用は大きく分けて、財産額ともらう人の数で決まります。
財産額に関しては下の表をご覧いただけば手数料がおわかりになると思います。
ただし、財産額が1億円未満の場合は、下記の手数料に11,000円が加算されます。
(日本公証人連合会サイトより作成)
たとえば、長男に2000万円を与えたいという遺言を作成したら、
23,000円に11,000円を加算した34,000円が費用となります。
長男に1500万円、次男に500万円の場合は、
23,000円(長男)と11,000円(次男)に11,000円を加算した
45,000円が費用となります。
また、足腰が悪くて公証役場まで出向けない時は、公証人が出張してくれますが、その出張代も別途かかります。
ほかにも、証人を公証役場で用意してもらったら、それも費用としてかかります。
公正証書遺言で必要な書類
最低でも以下の書類が必要です。
- 遺言する人の戸籍謄本
- 受贈者が遺言者の親族だったら、そのつながりが分かる戸籍謄本
- 不動産があったら固定資産税評価証明書
- 遺言者の本人確認書類(免許証、マイナンバーなど)
現金預金に関しては、その額を伝えるだけでいいケースがおおいです。
公正証書遺言作成の流れ
公正証書遺言作成の流れは以下のようになります。
1.公証人と事前に打ち合わせる
遺言書に書くべきことをまとめて、作成のまえに公証人と面談します。公証人の助言をもとに法的にあやまりのない内容にしていきます。
文言が出来上がったら、作成日を公証人と決めます。
2.公正証書遺言の作成
あらかじめ公証人が遺言書の原案を作成しております。
まず遺言者の本人確認をしたあと、遺言者が公証人に遺言書の内容を口述します。口述できない場合は、筆談でもかまいません。
その後、公証人が遺言書の原案を読み上げます。
原案にあやまりがなければ、遺言者は署名して実印を押します。ついで証人も署名して印を押します。
これで公正証書遺言の原本が出来上がりです。