未登記建物の相続登記には表題登記と保存登記が必要です
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未登記建物は、表題登記されていない建物のことをいいます。表題登記は義務であり違反すると過料です。未登記建物であるかを確認するには固定資産税の納税通知書をみます。未登記建物を登記するには、まず表題登記をして、そのあとに保存登記をします。
未登記建物とは
ひとくちに不動産といってもいろいろあります。宅地、畑、倉庫、住宅などなど。しかし、日本にある不動産のすべてが法務局の登記簿に載っているわけではありません。
というのも、たとえば新築された建物はそのままでは登記簿に載らないからです。法務局の職員さんが勝手に載せることはありません。
登記簿に載せるためには、建物の所有者が法務局に申請しないといけません。
もちろん、自分で申請してもいいですが、時間と労力がかかるために大半は土地家屋調査士さんに申請をお願いしているかたがほとんどです。
しかし、この申請(表題登記といいます。)をしないままで放置している人もいます。
つまり、世の中には登記簿に載っていない建物があるのです。それも意外とあります。
この登記簿に載っていない建物のことを未登記建物と呼んでます。
未登記建物を放置していいものか
新築した建物は必ず表題登記しないといけません。
表題登記は所有者の義務です。ですから、ほおっておいたら過料です。
不動産登記法第47条(抜粋)
新築した建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない。
不動産登記法第164条
第47条の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。
過料とは、刑事上の罰金とはちがい、行政上の罰則です。
しかし、罰則規定があるにもかかわらず、世の中に未登記建物が多いのには理由があります。
実はこの罰則規定、ほとんど使われたためしがないからです。何十年も表題登記がされていないという義務違反が続いていてもです。
おそらくですが未登記建物が多すぎて、厳密にこの罰則を適用すると世の中が混乱するからではないでしょうか。
現時点では、ほおっておいても問題ないのが事実です。しかし、将来、どうなるかはわかりません。
未登記建物の調べ方
話は変わりますが、不動産には固定資産税がかかります。もちろん、未登記建物にも固定資産税はかかります。
登記簿に載っていない建物であるにもかかわらず、未登記建物がどこにあるのかをどうして市役所がつかんでいるのかというと、
定期的に航空写真を撮っているからだそうです。
毎年、納税通知書が来ますが、建物が登記されていれば家屋番号が通知書に書いてあります。
例えば、青森市長島1丁目1番地の土地に建物があれば、その建物の家屋番号は1丁目1番です。
もし、未登記でしたら、通知書では家屋番号の欄が空欄になっています。お住いの建物が未登記かどうかは納税通知書をご覧になればわかります。
未登記建物を登記するには
未登記建物を登記するには、まず表題登記の申請をします。
表題登記の申請とは、簡単に言うと法務局に床面積、種類、構造の建物ができたかを報告するものです。
たとえば、居宅で1階は床面積何平方メートル、2階は何平方メートル、構造は鉄筋コンクリート造といった具合です。
表題登記の申請方法などは土地家屋調査士の仕事ですので、ここでは割愛させていただきます。
さて、表題登記の申請が無事終わったからといって、それでいいわけではありません。
このままだと抵当権の設定(ローン)や建物の売買ができないのです。
ですから、さらにもうひとつの登記申請をしないといけません。保存登記です。
この保存登記をすることで現時点での所有者が確定して、抵当権の設定などができるようになります。
この保存登記の申請に必要書類ですが、
表題登記を申請した人(表題部所有者)がそのまま保存登記申請をするのか、それとも表題部所有者の相続人が申請するのかで変わってきます。
表題部所有者が保存登記をするときの必要書類は、住民票だけです。ただし、司法書士に頼んだら、さらに委任状も必要です。
表題部所有者の相続人が保存登記をするときの必要書類は、相続登記をするときの必要書類と同じだと考えてもかまいません。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、改正原戸籍
- 相続人の戸籍抄本
- 遺産分割協議書または遺言書
- 被相続人の戸籍の附票または住民票の除票
- 所有者となる相続人の住民票
などが必要な書類になります。
まとめになりますが未登記建物を登記するには、表題登記申請、保存登記申請の2件の登記が必要になります。
未登記建物を登記するための費用は
まず登記をするには登録免許税、要は申請書に貼る印紙が必要なんですが、
表題登記申請には登録免許税はかかりません。
しかし、保存登記申請には登録免許税がかかります。
この登録免許税額は、建物の床面積、構造、建てられてどれぐらいの経過年数かで決まります。
また、土地家屋調査士と司法書士に依頼したら、それぞれ報酬もかかります。
未登記建物と土地を相続したら
よくあるのが実家を相続したら、建物が未登記だったというケースです。
建物を新築したら同時にローンも組む(抵当権の設定)ので、表題登記も保存登記もされてあることが普通なんですが、
被相続人が抵当権を設定せずに新築して、表題登記をしていなかったのです。
この場合、土地と建物は別々の登記になります。
まず土地ですが、これは相続による所有権移転申請になります。これだけです。
次に建物ですが、前述したように表題登記申請をしたあとに相続人による所有権移転申請となります。
つまり、3件の登記申請が必要だということです。
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