相続登記にかかる登録免許税の計算の仕方
saitou
最新記事 by saitou (全て見る)
- 相続登記等の申請義務化関係(通達) - 2023年11月2日
- 所在等不明者共有者との共有に関する通達 - 2023年10月31日
- 法務省民二第538号 令和5年3月28日 - 2023年10月31日
相続登記の申請書には印紙を貼ります。この印紙代が登録免許税です。登録免許税は不動産の価格に応じて決まるのですが、
その額は自分で計算しないといけません。
法務局の窓口で教えてくれるものでもないのです。
ここではご自身で登録免許税の計算ができるようにその計算の仕方を解説します。
算定に使う固定資産税評価額はどこにある?
登録免許税の計算の元になる数字は固定資産税評価額です。この数字を足したり割ったりして印紙代がいくらかを割り出します。
ですから、まず、この固定資産税評価額を探し出すことになります。
ではそれはどこにあるのかというと、毎年送られてくる固定資産税納税通知書にあります。
みなさん、公共料金と一緒に固定資産税もこの通知書で期ごとにお支払いになっていると思いますが、その通知書にあります。
具体的にその通知書のどこに書いてあるのかというと、ページをめくっていくと、
固定資産税課税明細書なるものが見つかると思います。まさにそこに記載されています。
しかし、固定資産税課税明細書を見てもどの数字を使えばいいのか、わかりずらいと思います。
かく言う私もそうでした。さて、下に載せてあるのが実際の固定資産税課税明細書を私が編集したものです。
こちらには土地とその上に建っている家屋の固定資産税課税明細書です。どの数字を使えばいいかおわかりでしょうか。
正解は以下の赤丸で囲んだ部分になります。
価格(評価額)の欄に書かれてある数字を使います。逆にそれ以外の欄の数字は無視して結構です。
この場合ですと、土地は6,534,678円、家屋は4,323,451円が登録免許税計算の元になる数字になるのです。
ただ、一点だけご注意してほしいことがあります。
最新の固定資産税評価額を使用しないといけないということです。例えば令和元年の最新の評価額は平成31年度のものになります。以降、令和2年は令和2年度のものが最新となります。
固定資産税評価明細書がないときは
お手元に固定資産税評価明細書がないということもあります。
その時は、最寄りの市役所に行って固定資産税評価証明書を取り寄せてください。
こちらに固定資産税評価額が記載されています。
固定資産税評価証明書は数字がごちゃごちゃと並んでないのでどれが評価額かはすぐにわかります。
相続登記における登録免許税の計算の仕方
さて寄り道しましたが、本題の登録免許税の計算の仕方に入ります。
みなさんにわかりやすいように具体的に計算をしていきたいと思います。
相続するのは先ほどの明細書にある土地と建物としましょう。
被相続人の不動産を子が相続するという典型的なパターンです。
土地の評価額は6,534,678円、家屋は4,323,451円でした。
① すべてを合算する
まず、相続する不動産の評価額をすべて足してください。
例えば、土地といっても宅地、山林、農地といろいろありますが、家屋も含めて評価額を全部足してしまってください。
そうすると、今回の例ですと10,858,129円になります。
これで第一段階は終了です。簡単ですね。
② 千円未満を切り捨てる
さて次は千円未満の端数を切り捨てます。
簡単にいうと百の位と十の位と一の位をゼロにするということです。
10,858,129円の場合は、「129」が該当しますから、切り捨てると
10,858,000円となります。
③ 切り捨てた額に4/1000を掛ける
②で計算した額に税率である4/1000を掛けます。
計算のコツですが、下三桁の数字は②で切り捨てているので、必ず「000」になっています。
具体例の10,858,000円も下三桁が0になっています。
この0をとると10,885となります。
後は×4をするだけです。そうすると、43,540円になります。
④ 税率を掛けた額の100円未満を切り捨てる
最後に③の額の100円未満を切り捨てます。
今回の例では③の額が、43,540円となっていますから、40円が100円未満です。
ですから、これを切り捨てると43,500円です。これが登録免許税の額になります。
つまり、④では十の位と一の位をゼロにするだけです。
まとめ
計算手順をまとめると以下のようになります。
登録免許税の計算で注意してほしいこと
登録免許税の計算で注意してほしいことがあります。
まず、今回、ご紹介した計算方法はあくまで遺産分割協議による相続登記のケースです。
遺言による相続登記では税率が変わることもありますので、ご注意ください。
また、登録免許税の計算は慣れてないと間違いやすいので、何度か繰り返してみてください。
間違ったまま申請すると補正といって修正をしないといけません。
ですから、あせらずに計算しましょう。