何十年も昔の古い遺産分割協議書で相続登記はできるのか

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司法書士さいとう司法書士事務所
青森市大野でさいとう司法書士事務所を経営している代表齋藤洋介です。 相続を中心として業務を行っています。 趣味は自転車(ロードバイク)、青森市内のラーメン店巡り、司馬遼太郎の小説を読むことです。

以前、ご依頼人様から昔の特別受益証明書、戸籍謄本を提示され、これで相続登記ができるのかと質問されたので、

私なりに調べて、法務局に照会などもしたので記録として残しておきたいと思います。

昭和50年代の書類は有効か

提示された書類は以下のとおりでした。

  • 昭和50年代に取得された戸籍謄本、除籍謄本
  • 昭和60年代(平成以前)に取得された相続人の住民票
  • 昭和50年代に取得された各相続人の特別受益証明書
  • 昭和50年第に取得された各相続人の印鑑証明書

30年以上も昔に取得された書類でしたので、法務局で通るのか不明でしたので、

通達、先例を探したところ、以下のものをみつけました。

 

昭35年2月5日 民甲 286号通達

不動産登記令別表22の規定する相続を証する書面としての戸籍等抄本について、

その有効期限の定めはない。

以上の通達によれば昔の戸籍抄本でも問題なく申請できることになります。

不動産登記令別表22に規定する書面とは

  1. 相続又は法人の合併を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報
  2. その他の登記原因を証する情報

以上の書類です。

具体的には、戸籍謄本等、住民票、印環証明書は上記1にあたり、

特別受益証明書は上記2にあたることになります。

ですので、通達によればお預かりした書類に他の問題がなければ、登記は通るはずです。

しかし、もうひとつの問題点がありました。

 

被相続人の住民票が存在しない

被相続人の同一性を証明するために被相続人の住民票除票、または戸籍附票も必要です。

しかし、今回お預かりした書類に被相続人の住民票はありませんでした。

さすがに市役所での保存期間を過ぎているので、もはや取得することはできません。

そこで、また通達、先例を探したところ、以下の通達を見つけました。

平成29年3月23日付法務省民二第175号

相続による所有権の移転の登記の申請において,所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された「本籍」と異なる場合には,相続を証する市区町村長が職務上作成した情報の一部として,被相続人の同一性を証する情報の提出が必要である

上記から、登記記録上の住所が本籍地と同じであれば、

被相続人の住民票除票を提出する必要はないと考えることができます。

お預かりした書類を確認したところ、

ありがたいことに被相続人の登記記録上の住所と本籍地は一致していました。

これで問題なく登記申請は通るはずです。

結局、申請は通ったのか

事前に法務局に照会したところ、問題ないとの回答を得たので、申請しようとしたところ、

ご依頼人様から今回はキャンセルしますとの連絡がきました。

よって、残念ながら申請には至りませんでした。