葬式費用は誰が負担すべきか?
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ここでは、葬式費用はだれが負担するのか、葬式費用とは具体的にどのようなものかについて解説しています。
喪主が負担する?
ある統計によると、葬式にかかった費用は平均で100万円を超えているようです。
葬式費用をだれが負担するのかで、トラブルになることもあるようです。
一般的には喪主が負担することがおおいようですが、では、そもそも「喪主」とは誰がなるのでしょうか。
それこそ昔は、家督を相続した一家の家長が喪主をつとめていましたが、現在では亡くなった人の配偶者、または長男などがつとめることがおおいようです。
また、地方の慣習によって決まることもあります。たとえば、北海道では長男が喪主になることがおおいそうです。
喪主の役割は、葬式を取り仕切り、遺族の代表としてあいさつをすることなどで、実は葬式費用を喪主が必ず負担しなくてはいけないということではありません。
さて、葬式の運営するのは喪主だけではありません。実は「施主」もいます。
この施主が葬式費用を負担する人にあたります。
通常、喪主イコール施主ですので、喪主が葬式費用を負担するというイメージが強いのですが、厳密にいうとちがいます。
喪主がまだ若くて、経済的に葬式費用を負担できないときは、経済力のある人が施主をつとめたりします。
ですから、喪主だから葬式費用を負担しなければならないということではないのです。
あくまでも施主が葬式費用を負担します。
裁判所の見解は
実は民法上、だれが葬式費用を負担するかについての規定はありません。
遺言書に葬式費用について書いておくとか、相続人で合意があるとなればトラブルにはなりませんが、
たびたび葬式費用をだれが負担するかについて裁判の場で争われてきました。しかし、明確な統一見解は出ていません。
裁判では大きく分けて3つの考え方がとられているようです。
まずひとつは、相続人全員が負担するという考え方です。
なんの取り決めもなければ、葬式費用は相続人全員が均等に、あるいは資力に応じて負担します。
もうひとつは、相続財産から支払うという考え方です。
この考え方によると、亡くなった人の遺産から支払うということになります。
最後は、喪主(施主)が負担すべきだという考え方です。
これにはよく取り上げられている裁判所の判例があります。名古屋高等裁判所平成29年3月29日の判決です。
この判決では喪主(施主)が負担すべきだとしています。
というのも、喪主(施主)は葬式を運営するにあたり、おおがかりにやることも遺族だけでこじんまりとやることもできるからです。
つまり、費用をどれだけかけるかを喪主(施主)は決めることができるのだから、費用も負担すべきだということです。
葬式費用の範囲
それでは、葬式費用とは具体的にはなんなのでしょうか。
国税庁では相続税を計算するために葬式費用に含まれるものとそうでないものを区別しています。
以下、列挙してみます。
葬式費用になるもの
- 葬儀会社に支払った費用
- お通夜などでの飲食費
- お寺などに支払うお布施、読経料など
- 葬儀にかかわった人などへの心付け
- 親族の葬儀会場までの交通費
- 遺体の捜索、死体や遺骨の運搬費
葬儀費用にならないもの
- 香典返し
- 墓地や位牌の購入費用
- 初七日や法事などのためにかかった費用
香典はだれのもの?
葬儀をとりおこなうと参列者から香典をいただきます。
この香典はだれのものになるのでしょうか。
故人のものとなると遺産の一部となり、相続人は香典について遺産分割協議をしないといけません。
しかし、実際のところ、香典は故人のものとは考えられていません。ですから、遺産分割協議をする必要はありません。
香典は、葬儀をとりおこなった人への贈与と考えられています。
つまり、施主への贈与ということです。
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