相続登記にかかる費用 司法書士の相場はどれくらい?

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司法書士さいとう司法書士事務所
青森市大野でさいとう司法書士事務所を経営している代表齋藤洋介です。 相続を中心として業務を行っています。 趣味は自転車(ロードバイク)、青森市内のラーメン店巡り、司馬遼太郎の小説を読むことです。
相続登記費用

相続登記をしなければいけなくなったら、まっさきに頭に思い浮かぶのは「費用はいったいいくらかかるんだ。」ということではないでしょうか。

相続登記は一生に一度のライフイベントといってもさしつかえないので、税金はいくらかかるのか、司法書士への報酬の相場はどれぐらいかについてはなじみがないと思います。

ですから、いっそのこと自分で登記申請してみようと思っているかたもいらっしゃるかもしれません。

そこで、現役司法書士である私が、相続登記にかかる費用と司法書士報酬の算定方法の裏側をお教えいたします。

相続登記の費用の内訳

相続登記で必ずかかる費用(司法書士報酬を除く)は以下になります。

  • 登記簿調査費用
  • 戸籍謄本等取得費用
  • 住民票取得費用
  • 固定資産税評価証明書取得費用
  • 登録免許税
  • 登記簿謄本取得費用

1.登記簿調査費用

相続登記をする前にまず、現時点での不動産所有者が誰であるかを調べておきましょう。

所有者がこのたびの被相続人であればなんの問題もありませんが、所有者がさらに一代前だと数次相続になります。

関連記事【数次相続とは?代襲相続とのちがいや中間省略登記も解説!

数次相続ですと登記申請の難易度が上がります。

所有者をチェックするには登記簿謄本を取得しましょう。

法務局へ行けば誰でも取ることができます。不動産1個当たり、600円です。

土地建物だけであれば、1200円ですね。

実は登記簿謄本だけではなく、登記事項要約書というものもあり、こちらの方が安いんですが(不動産1個当たり450円)、

簡略化されており、プロでなければよくわかりませんので、登記簿謄本の取得をおすすめします。

2.戸籍謄本取得費用

登記申請には戸籍謄本を添付しないといけません。

戸籍謄本といっても、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)、戸籍個人事項証明書(戸籍抄本)、改正原戸籍謄本、戸籍の附票があり、それぞれ手数料がかかります。

取得費用は以下のようになります。

  • 戸籍全部事項証明書  450円
  • 戸籍個人事項証明書  450円
  • 改正原戸籍謄本    750円
  • 戸籍の附票(1人分) 200円

これらを相続の事情に合わせて取得する必要があります。

数次相続でもなく、代襲相続でもない、普通の相続登記であればだいたい3000円ぐらいとみておけば問題ないです。

3.住民票取得費用

このたび被相続人から不動産を受ける人の住民票も戸籍謄本を取るついでに取得しておきましょう。

不動産を受ける人全員の住民票が必要です。

青森市役所ですと住民票取得の手数料は1通200円です。

4.固定資産税評価証明書取得費用

後述する登録免許税を算出するために最新年度の固定資産税評価証明書が必要です。

役所によって取得費用は異なりますが、

青森市役所ですと1通300円です。

被相続人の所有している全不動産がのっている評価額証明書を1通取得します。

5.登録免許税

登録免許税とは、申請書に貼る印紙のことです。

登録免許税の税率ですが、相続による登記(遺産分割協議、法定相続)なのか遺言による登記なのかで変わってきます。

相続による登記、つまり、法定相続人に相続させる場合は、4/1000です。

関連記事【法定相続人には優先順位があります

そして、法定相続人以外の人に遺言で贈与(遺贈)する場合は、20/1000です。

これらの税率に固定資産税評価額をかけたものが登録免許税となります。

たとえば、固定資産税評価額が1000万円で、遺産分割協議による相続でしたら、登録免許税は4万円です。

また、法定相続人以外の人に遺贈したら、20万円になります。

6.登記簿謄本取得費用

さて、登記が完了したら、申請した事項が正しく反映されているか登記簿謄本を取って確認してみましょう。

前述したように不動産1個当たり、600円かかります。

 

以上が相続登記にかかる費用の内訳(司法書士報酬を除く)です。

もっともお金がかかるのは登録免許税になります。

 

登録免許税の具体的な計算方法

登録免許税は、固定資産税評価額に税率をかけたものだと前述しましたが、

固定資産税評価証明書の数値をそのまま使ってはいけません。ちょっと加工してやる必要があります。

固定資産税評価額は1円単位で載っています。

たとえば、宅地は6,131,224円、建物は4,593,768円といった具合です。

登録免許税を計算するには、まず宅地と建物の額を合算します。

そうすると10,724,992円となります。

次にこの額の1000円未満を切り捨てます。これで10,724,000円になりますね。

この10,724,000円に税率(たとえば、4/1000)をかけます。

これで42,896円になります。

最後に42,896円の100円未満を切り捨てます。

42,800円、これが登録免許税になります。計算手順は以下のようになります。

  1. 全ての不動産の固定資産税評価額を合算
  2. 1000円未満を切り捨て
  3. 税率をかける
  4. 100円未満を切り捨て

 

相続登記費用の事例

それでは相続登記全体でどれだけの費用になるかを事例を使って計算してみましょう。

事例 

被相続人は生まれてからずっと青森市内に住んでいました。結婚して子供がふたりいますが、ふたりとも結婚して独立しています。このたび、遺産分割協議をして、配偶者に土地建物(固定資産税額 合計1200万円)を相続させることにしました。

費用内訳

  • 登記簿事前調査(不動産2個)         1200円
  • 戸籍謄本   戸籍全部事項証明書 1通     450円
  • 戸籍個人事項証明書        2通     900円
  • 改正原戸籍            2通    1500円
  • 戸籍の附票            1通     200円
  • 住民票              1通     200円
  • 固定資産税評価額証明書      1通     300円
  • 登録免許税                  48000円
  • 登記簿謄本取得(不動産2個)          1200円

以上が内訳で、これらを合計すると 53950円となります。

 

司法書士報酬の算定方法の裏側

上記の計算例は、司法書士への報酬を含んでいない額です。

それでは司法書士の報酬はどれだけになるかが問題ですが、

そのまえに司法書士の報酬算定の歴史というものをふりかえってみます。

というのも以前は司法書士報酬規定というものがあり、各司法書士はその規定の範囲内で報酬額を決めていたのです。

その司法書士報酬規定ですが、平成14年12月31日をもって廃止され、以降はおののが自由に決めることになりました。

しかし、今でも司法書士報酬規定(旧報酬規定)の算定方法を参考にしている司法書士は多いです。

旧報酬規定の算定方法

旧報酬規定では、基本報酬手続き報酬というふたつの項目があり、これらを合算したものが報酬の大枠となっています。

基本報酬は、固定資産税評価額で変わってきます。不動産が2個以上あれば、それらを合算した額で決まります。

手続き報酬は、定額でかかってくるものです。

そのほかにも不動産の個数が2個以上あると2個目から一定の額が加算されます。

意外と単純ですが、旧報酬規定は以上で述べたとおりになります。

現在の算定方法

現在では報酬は自由化されましたが、旧報酬規定の算定方法が底にあるといってもよいでしょう。ただし司法書士によりその金額はバラバラです。

報酬を決める際の基準となるものは、

  • 最低限、定額でかかる報酬(手続き報酬)
  • 固定資産税評価額
  • 不動産の個数

以上です。

「最低限、定額でかかる報酬」は、遺産分割協議作成とか相続関係説明図作成といった名目になっていることがおおいです。

さらに司法書士によっては、戸籍謄本等を代わりに取得したらいくらとか、代襲相続や数次相続だとさらに加算というところもあります。

報酬の相場は

司法書士報酬の算定方法はわかったとして、それでは具体的にいくらぐらいが相続登記報酬の相場なのか疑問にお思いかもしれません。

司法書士連合会では、数年に一度、司法書士に個別の事案ごとに報酬はいくらぐらいになるかのアンケートをとっています。

日本司法書士連合会 司法書士の報酬

平成30年度1月に実施したアンケートでは以下の事例のケースで東北地区の相場が掲載されています。

事例

土地建物を1個ずつ(固定資産税評価額 合計1000万円)の相続登記で、遺産分割協議書と相続関係説明図を作成し、戸籍謄本を5通だけ代理取得し、司法書士が登記申請した。

東北地区(有効回答数 1098)

全体の平均値     60,677円

下位10%の平均値  35,457円

上位10%の平均値  99,733円

報酬額に結構ばらつきがあるのがわかります。これは私の実感ですが、東北でも都市部だと高くなり、そうでないと低いという感じです。

たとえば、青森市、八戸市、弘前市ですと全体の平均値に近いですが、五所川原市やむつになると下位10%の平均値に近くなるようです。

ただし、あくまでもこれは平均であり、報酬は各司法書士により違います。

司法書士に依頼する際にはあらかじめ見積りをしてもらいましょう。

 

登記申請を自分でやりたい方へ

司法書士に報酬を払うのはもったいない、自分で登記申請をしたいというかたもいらっしゃると思います。

それでは自分で登記申請できるのかという点ですが、

簡単な登記なら、手間ひまはかかりますが自分でできると思います。

逆に数次相続、未成年者がいて利益相反といった複雑な登記であれば司法書士に依頼したほうが無難だと思います。

関連記事【親子間で利益相反行為になる例は?

簡単な登記とは、被相続人の配偶者と子だけに相続させる登記です。これであれば自分だけでも可能でしょう。

実際には法務局に登記相談へ行くとよいでしょう。

法務局では登記の手続きに関してのみ相談に応じています。ただし、相談は事前に予約をとらないといけないようです。

また、一日に受ける相談者数の上限も決まっているようです。

手間ひまがかかると書きましたが、法務局OBに聞いたことがあるのですが、一度の相談だけですべて終わるということはないそうです。

5回か6回は法務局に足を運んでもらうことが多いそうです。

もちろん、法務局は平日の日中しか開いてませんから、その時間帯に行くということになります。

ですから、どうしても自分だけで登記申請をするのは時間と手間がかかるものになります。

しかし、時間も意欲もあるという方でしたら、自分で登記申請をしてみるのもいいのではないでしょうか。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

これで相続登記にかかる費用の不安が消えてくれたら幸いです。

相続登記費用だけでしたら、思ったほどかからないのが現実です。しかし、それに司法書士の報酬が上乗せされると結構な額になることもあります。

司法書士報酬の相場も書きましたので参考にしていただければと思います。

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