相続放棄と遺品整理の関係で気を付けたいポイント
saitou
最新記事 by saitou (全て見る)
- 相続登記等の申請義務化関係(通達) - 2023年11月2日
- 所在等不明者共有者との共有に関する通達 - 2023年10月31日
- 法務省民二第538号 令和5年3月28日 - 2023年10月31日
相続放棄の前後で被相続人の持ち物や部屋の片づけについて、どのようにしていけばいいのかをまとめました。
ポイントごとに整理していますのでぜひご参考にしてください。
目次
アパートの解約手続きはしなくてもいい
被相続人がアパートに一人で暮らしており、相続人が亡くなったのを知って相続放棄をしたら、アパートの解約は誰がすればいいのかという問題があります。
アパートの賃貸借契約は相続されるものですから、被相続人が亡くなったからといって終了することはありません。
相続人が賃貸借契約を引き継ぎます。
しかし、相続放棄をすれば話は別です。
相続放棄をするとはじめから相続人ではなかったことになります。ですから、賃貸借契約も引き継がなくても問題はありません。
結局、相続人が存在しなければ賃貸借契約は自然消滅ということになるでしょう。
被相続人が自分の持ち家に住んでいたケースで相続放棄をしたらどのようになるかは以下の記事を参考にしてください。
関連記事【相続放棄をしても空き家は放棄できません!?】
被相続人の保証人になっていたら
被相続人がアパートを借りるときに相続人が連帯保証人になっていることもありますが、
このケースでは被相続人が亡くなった後に大家がハウスクリーニング代といった名目で原状回復請求をしてくるかもしれません。
この場合、たとえ相続放棄をしていても保証人として支払う必要があります。
相続放棄をしても保証人という地位は放棄できないからです。
相続放棄後の部屋の片づけ
相続放棄をする前後に相続人が部屋の片づけをしてもいいのかは悩ましいところです。
うかつに処分してしまうと単純承認(民法921条)とみなされ、たとえ相続放棄をした後であっても被相続人の権利義務を引き継がないといけなくなります。
基本的に価値のないものは処分してもかまいません。被相続人の財産を減らすことにはならないからです。
冷蔵庫、テレビといった家財道具に関しては微妙なところではあります。
使い始めてから何年も経っているものであれば価値はないとかんがえられますが、
もし処分するのに不安であれば別の場所に運び出して保管しておくといいでしょう。
もちろん、貴金属などのあきらかに価値のあるものは勝手に売ったりしてはいけません。これも手元に保管しておくべきです。
相続放棄後の軽自動車はどうするか
部屋の片づけを終えた後に気になるのは被相続人が乗っていた自動車だと思います。
駐車場に置きっぱなしにしておくと駐車場代がかかりますし、自動車税もしはらいつづけることになります。
自動車に関しては、財産的価値のあるなし、ローンの有無で取り扱い方が変わります。
財産的価値のない自動車
登録してから5年以上経過した、または走行距離が20万キロを超えるものは、もう価値がないものと考えられます。
ですから廃車しても問題ありません。
もし自動車税が未払いで廃車手続きができない場合は、相続人が自身の財布から自動車税の支払いをしても単純承認にはあたりません。
財産的価値のある自動車
逆に登録して間もない自動車は、たとえ軽自動車であっても財産的価値があるので被相続人の財産の一部です。
この場合、もしそのまま置いておくことが不都合であれば売却しても問題ありません。
そして、売却して得た現金を手を付けずに保管しておけばいいです。
他の手段として相続財産管理人を選任するという手もありますが、費用と時間がかかるために現実的ではないです。
ローン中の自動車
ローンがまだ残っている場合は、そもそも自動車の所有権が銀行などの債権者にある可能性があります。
もし被相続人の所有でなければ、相続放棄した相続人がなにかをする必要はありません。
水道代などの公共料金の支払いは原則しなくてもいい
水道代や電気料金といった公共料金に未払いがあったとしても、相続放棄後は支払う必要はありません。
もし督促などが相続人のもとへ来たら、相続放棄申述受理通知書のコピーしたものを提示するなどして相続放棄したことを伝えましょう。
相続放棄申述受理通知書とはどういうものかについては下記の記事をご参考にしてください。
関連記事【相続放棄の手続きの流れ|相続放棄申述書の書き方、必要書類は?】
しかし、配偶者が相続放棄をするときは結論はことなります。
というもの日常家事債務に関しては夫婦が連帯して責任を負うからです。
これは民法第761条に規定があり、どちらか一方が支払わないときはもう一方に請求できます。
公共料金はまさしく日常家事債務にあたりますので、配偶者が相続放棄をしても支払い義務は残ります。
携帯やクレジットカードの支払いや解約はしなくてもいい
被相続人の携帯やクレジットカードの支払いや解約もしないほうがいいです。
かりに違約金や未払いの請求がきても相続放棄申述受理通知書を提示することで対処します。
生命保険は受取人がだれかが重要です
生命保険の契約書には受取人が誰かが記載されています。
この受取人が相続人のであったら、相続放棄後でも受取人である相続人が取得することができます。
相続人の固有の財産であり、被相続人の相続財産ではないからです。
しかし、受取人が被相続人と記載されていたら、これは被相続人の相続財産となります。
ですから、相続放棄をした相続人が取得すると単純承認とみなされるのでご注意ください。
詳しくは下記の記事をご覧ください
関連記事【相続放棄後でも受け取れるもの 未支給年金 遺族年金 生命保険】