遺言書を作成する前におさえておきたい注意点
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ここでは、遺言を書いたほうがいいケース、遺言の効力にはどのようなものがあるかについて解説しています。
自分で遺言書を作成するか、公正証書で作成するか
遺言書を作成する前に、遺言書にはおおきく2種類あることをおさえておきましょう。
自筆証書遺言と公正証書遺言です。
どちらで作成するかでリスクと費用がちがってきます。
自筆証書遺言
自分で遺言書を手書きすることを法律上の用語で自筆証書遺言といいます。
これももちろん認められた遺言書の作成方法です。
紙とペンさえあればできるので費用をおさえることができます。
しかし、形式上の要件を守らないと無効になる可能性があります。
くわしくは下記を参考にしてみてください。
関連記事【手書き遺言書の無効にならない書き方】
公正証書遺言
公証役場で作成する遺言書のことを公正証書遺言といいます。
遺言書を公正証書で作成したい人は公証役場に出向いて、公証人と何度か面談して遺言内容を練ります。
そして、正式な遺言書作成日に公証人の前で遺言書の内容を確認して完成です。
作成にあたり、公証役場に費用を支払う必要がありますが、反面、形式、内容ともに無効になる可能性はまずないと言える点で安心です。
関連記事【遺言書を公正証書で作成した時の費用と必要書類】
自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがいいか
自分で書くか、公正証書で作成するかお悩みのかたもいるかもしれませんが、
独断ですが、公正証書遺言のほうがいいかと思います。
自筆証書遺言とちがい、無効になる可能性がほぼないからです。
遺言内容として書いて意味があること4つ
民法上、遺言でできることは決まっており、それ以外のことを書いても意味がないです。
「私の死後は兄弟仲良く暮らして、残された母を孝行してください。」
と書いても、法律上の効力はありません。
それでは遺言でできることをあげてみましょう。
1 遺産分割の禁止
遺言により、自分が死んでから5年以内は遺産の分割を禁止することができます。
未成年者は遺産分割協議に参加できないので成年に達するのを待つまでとか、
海外に住んでいてすぐには遺産分割協議に参加できない相続人がいるとか、
などの事情がある場合、遺産分割を禁止しておきます。
2 認知、後見人の指定
婚姻届けを出していない内縁の夫婦の間に生まれた子供は、法律上は父のいない子供となります。
父親は生前に認知届けを出せば法律上も子の父となるのですが、何らかの理由で生前は認知できないということがあるわけです。
こういった事情の時に遺言で認知するのです。これを「遺言認知」といいます。
遺言認知で子供は相続人となり遺産分割協議に参加できるようになります。
ただ認知に際には二つの注意点があります。
ひとつは子供が成人のケースで認知するには子供の承諾が必要です。
もうひとつは、胎児の認知では母の承諾が必要になります。
認知のほかに後見人の指定もできます。
子供がまだ成年に達していなければ、自分の死後に他の親権者がいなければ未成年後見人を遺言により指定できます。
3 遺贈
遺贈(いぞうと読みます。)は遺産を相続人または相続人ではない人(たとえばお世話になった人)に無償で譲渡することを言います。
遺言書を作成する一番の目的がこれです。
遺贈には民法上、2パターンあります。
それぞれ微妙に異なります。
財産を個別に贈与する方法(特定遺贈)
長男には実家を、次男には預金をという具合に財産を個別に贈与していく方法です。
もらう側は、もらいたくなければいつでも放棄できます。
全財産の何分の1を遺贈すると書く方法(包括遺贈)
長男と次男に財産を半分ずつ取得させると書くと包括遺贈になります。
もらう側が放棄するのも期間制限があり(遺贈を知ってから3か月以内)、家庭裁判所での手続きが必要です。
4 遺言執行者の指定
ところで遺言に「土地を誰それに遺贈する。」と書いてあったら、手続きをする人はだれでしょうか?
原則、相続人全員になります。
でもいちいち相続人全員が駆り出されるのは面倒です。
ですので遺言の内容を実現していく人を遺言で指定することができます。
その人を遺言執行者といいます。銀行口座を解約したり、相続財産の目録を作成したりと遺言に書かれたとおりに相続させるわけです。
遺言書を書いても遺言どおりに相続がされるかは不安なものです。
しかし、遺言執行者を指定しておけば安心です。